施  工

職人だからわかる「技」と「性能」

見えない部分が最も大切です

私は自分の技に誇りを持っています。見えない部分を最も大切にしています。見えない部分、つまり、つくった後は手の施せない場所です。やり直しがきかないからこそ、自分の仕事を「完成させる」のです。それが職人の気概です。

見えない下地にこだわりぬく

雨風をしのげること。これが家のもっとも基本的な性能です。それを担保するために、材料一つ、施工方法一つにも手をかけています。

たとえば、その雨風をしのぐための屋根の下地。一般的な下地材は、厚さ12ミリの針葉樹合板が使われます。もちろん問題があるわけではないですが、私たちの目から見ると少々心もとない。基本部材に、軒部分は厚さ24ミリの杉の無垢材。屋根本体部分は、厚さ12ミリのヒノキ無垢材+12ミリ厚のシージングボードを組み合わせます。シージングボードは、防音性能もあり、雨の音を軽減させる役割があります。また、一般的には軒先の裏側(軒天井)は、板金で覆うのが一般的ですが、中建は、無垢の杉に防腐剤を塗装します。杉はもともと湿気に強く、外壁材として昔から利用されていました。一見すると、金物で覆うのが良さそうに見えますが、覆ってしまうことで湿気がこもります。合板は接着剤で貼り合わせてある素材なので、長い年月の間に、経年変化は発生します。その点、防腐剤を塗布してある無垢材は、ちゃんと呼吸ができるため、むしろ長持ちするのです。また、無垢材は、既製品の建材のサイズとは違います。組み合わせて使用するため、それらを固定するための釘やビスの位置、数、打ち方も、一般的な工法とは違います。ですから、時間と手間を要します。しかし、家の基本性能を保つために手は抜けません。長年、職人として培った経験と知恵で、ご満足いただける施工を心がけています。

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見えないところこそ大切にしています
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ドアもサッシも自然素材にしたい!

木製のドアや建具は雰囲気もあっていいですよね。ただ、一点だけ、自然素材の宿命とも言えることがあります。自然素材の建具(扉)を外との結界に使用する場合は、かならず「すきま」ができるということです。木は生きた素材で伸縮するためです。ということは、虫が入ってくるということです。これを避けるには、外の建具は樹脂やアルミ製の既製品を使い、家の中の建具だけ、木製にすると、デザイン性を保つことができます。

NAKAKEN方式の壁面内部構造

蓋をしてしまったら、あとは建物自身の性能に任せることになります。その建物の一番の敵は「湿気」です。つまり、水に対してどう防御をかけるかが、家を長持ちさせるコツなのです。

外壁の内部には「タテ胴縁」と呼ぶ層が入っています。一般的な木造の在来工法の住宅ではまず行うことはありません。通常よりも一段階骨組みを厚くして、あえて空気層を作り、内部の適度な乾燥を自然に行えるようにしています。一般的な外壁では、空気層があらかじめ空けてある胴縁を使用します。この場合、外壁材にビスで固定する際、必然的に穴が多くなります。もちろん密着していますが、ここから湿気が入り込む可能性があります。中建では、タテ胴縁を使用した場合は、このタテ胴縁にヨコ胴縁を固定するため、ビスの箇所が少なくなります。穴を最小限にすることができます。少しでも湿気がたまる余地をなくしていく。ここに手間をかけることで、快適性能が上がっていくのです。

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昔ながらの風が通る基礎構造

基礎も当然同じです。湿気がこもらないようにするため、基礎パッキンを使用して通風口をつくり、自然の風を通します。シロアリ対策はこれが基本であり、昔から変わらない工法です。換気扇が壊れる心配もなく、余計なメンテナンスもかかりません。

耐震プラス、制震へ

一般的な耐震の基準は、耐震等級で表します。結論から言えば、中建の標準グレードは耐震等級2相当です。基本的にはこれ以上、等級を上げていく必要はないと考えています。なぜなら、この耐震等級という基準は「1回目の地震に耐えられる」性能値だからです。むしろ、その後のことを重要視しています。つまり、大きい余震が来た際の耐震性能です。初動で耐えたとしても、家には相当なダメージがあります。規模の大きい余震が来た際には、できるだけそのダメージを抑制させる必要があります。耐震等級を上げるためだけに必要以上に筋交いを入れても、実はあまり意味がないのです。人間の体で例えると、見せる筋肉とインナーマッスルとの違いです。家の構造をしなやかにして、揺れを抑制するのです。体を柔らかくすることで、ケガから身を守るのと同じです。そこで採用したのが「制震」という考え方です。

NAKAKENではお客様のご要望により、オプションにて日軽金アクト株式会社のブレースリー®を採用しています。ブレースリー®の最大の特徴は、制震ブレースでありながら耐力壁として国土交通大臣壁倍率の認定を取得しているところです。

※1)建物・地震波により異なります。 

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ブレースリー®は、建物の地震による揺れを軽減させる、木造軸組工法用の制震ブレース(制震装置)です。

「ブレースリー®」はアルミ製の筋かいに履歴ダンパーと呼ばれるアルミ押出形材を内蔵した制震ブレースです。このアルミダンパーの塑性変形によって生じるエネルギー吸収機能により安定した減衰性能を発揮し、地震の揺れを30%~50%低減します。※建物・地震波により異なります。 「ブレースリー®」の最大の特徴は、制震ブレースでありながら耐力壁として国土交通大臣壁倍率の認定を取得しています。制震機能付きの耐力壁として利用できるため、限られた住宅の壁を有効に使うことが可能です。 アルミは耐久性に優れ、経年劣化が起こりにくいので一年を通して壁内の過酷な環境でもほぼ影響を受けることなくその性能を発揮し続けます。

断熱性能は材料ではなく、施工者の腕で決まる

断熱材については、自由にお選びいただく。基本的にはこの考え方にしています。自然素材だけを使用したいお客様にはセルロースファイバーで施工します。予算を節約したい場合はウレタンフォームやグラスウールで施工します。断熱性能については、どんな材料を使用するかというよりも、施工者の技術によるところが大きいのです。一般的な材料を使えば、現代の家の断熱性能は十分に保たれます。大切なことは、材料を覆う構造体の出来で、断熱性能は変わってくるということです。